2008年04月05日
 ■  カラヤンの芝生

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本日、保護者会と吹奏楽部後援会の会合がありました。
私の転勤と今後の事について縷々ご説明しました。
こういう事になった今、皆様から伺うお話は
私にとっては過分のお言葉ばかりでした。

今日お出で頂いた皆さんにお話しした
年寄りの昔話です。

私が大学4年生の時、
カラヤンが私たちの学生オケを指揮してくれました。
指揮の後、会場での質疑があり、
「(ベルリンフィルのような)よいオーケストラをつくるにはどうすればよいのか?」
という質問が出ました。
帝王と呼ばれていた当時のカラヤンです。
我々はどんな答えが返ってくるか興味津々で答えを待ちました。
「イギリスに行ったときすばらしい芝生をみました。
どうやったらこんな素晴らしい芝生ができるのかと尋ねました。
毎日の芝刈りと水やり、
そして、100年経つと、こういう芝生が出来ます、
という答えでした。オーケストラも同じです。」
こんな答えだったと思います。

私はその時、正直、「なーんだ」とがっかりしました。
もっと、何か、現実的、技術的な答えを期待していたのです。

ところが、10年前くらいから、
この、カラヤンの言葉が私の心の中に蘇ってきました。
毎日毎日の積み重ね。
1年2年で作れない何か。
経験をよい形で重ねること。
投げ出さない。諦めない。
そんな事を肝に銘じつつやって来たつもりです。

今、切に、
積み重ねの中で作られたものを壊さないで欲しいと思います。
岩田が去って、別の人間が来れば、
また1から別のものを作る。
という考えもあるでしょう。
しかし、この部活はとっくの昔から、岩田一人のものではありません。
みんなが作ってきたものです。
いつも1からの作り直しでは、造れないものがあると思うのです。

最近の建築物の大半は、優れた設計であったとしても、
竣工した後は古くなっていくだけ。
せいぜい50年で取り壊すしかなくなるかも知れません。
一方、昔の建造物の中には、
50年そこに建って、使われているからこそ、
風景と馴染み、外観も落ち着いて、
価値が作られてくるものもあるのではないでしょうか。

文化は時間をかけずには創れません。

投稿者 iwata : 2008年04月05日 21:37

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